【イントロダクション】MCUの新たなる波──正義じゃ救えない時代に現れた“最凶チーム”
マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)もフェーズ5に突入し、いよいよアベンジャーズ不在の世界での戦いが本格化しています。そんな中、2025年最大の話題作として登場したのが、映画『サンダーボルツ*』。
かつての悪役や疑惑のヒーローたちが手を組み、国家主導で結成されたこの“疑似アベンジャーズ”とも言えるチームは、ファンの間で期待と不安を巻き起こしていました。
本記事では、映画『サンダーボルツ*』の見どころ、登場キャラクター、アクション、音楽、MCU内での位置づけ、そして今後の展開予想まで徹底的に解説します。未視聴の方も、すでに鑑賞済みの方も、本作をもっと深く楽しむための読み物としてぜひご活用ください。
【あらすじ】アベンジャーズなき世界に、正義はあるのか?
物語は、アベンジャーズ解散後の混乱した世界から始まります。人々の信頼を集めていた正義の象徴たちが姿を消し、各地で超常的な事件が頻発。そんな中、ヴァレンティーナ・デ・フォンテーヌ(ジュリア・ルイス=ドレイファス)は、“使い捨て可能な兵士たち”で構成された特殊部隊──コードネーム「サンダーボルツ*」を立ち上げます。
彼らは、かつての戦いで“正義の味方”と敵対した人物ばかり。いわば“闇落ちヒーロー”たち。
だが、彼らの中には罪を償いたい者、家族を守るために戦う者、自分の正義を押し通そうとする者、そしてただ命令に従うだけの者もいる──。
信頼も戦術もバラバラな彼らに与えられたミッションは、国家転覆を企てる超人的テロリストの討伐。しかし、その背後にはMCU史上最も予測不能な“黒幕”の存在があったのです──。
【キャラクター紹介】ダークヒーローたちの魅力を徹底解説!
◆バッキー・バーンズ/ウィンター・ソルジャー(セバスチャン・スタン)
キャプテン・アメリカの親友であり、洗脳されて暗殺者として過ごした苦い過去を持つバッキー。『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』以降、やっと安息を手にしたかと思いきや、今作では再び“戦いの業火”に身を投じます。チーム内で唯一“人を信じる”ことができる存在として、リーダー的なポジションに。
◆イェレナ・ベロヴァ(フローレンス・ピュー)
『ブラック・ウィドウ』で鮮烈な登場を果たしたナターシャの妹分。軽口を叩きつつも、どこか人との距離感を持てないイェレナ。彼女のブラックジョークと、予想外の“あるシーン”での涙には、多くの観客が胸を打たれました。
◆USエージェント/ジョン・ウォーカー(ワイアット・ラッセル)
キャップの代替品として政府に任命され、暴走して一度はすべてを失った男。自尊心と使命感の間で揺れ動きながらも、何度倒れても立ち上がるその姿は、皮肉にも“本当のヒーロー”の片鱗を見せています。
◆レッド・ガーディアン(デヴィッド・ハーバー)
ロシア版キャプテン・アメリカ。豪快かつユーモラスなキャラクターですが、過去の栄光にしがみつく哀愁があり、イェレナとの“父娘のような関係”は本作の感情的な支柱となっています。
◆ゴースト(ハナ・ジョン=カーメン)
量子フェーズで半物質化した身体を持つステルスアサシン。生存本能と自我の境界で揺れ動くキャラクターで、その透明化アクションは映像的にも斬新。
◆タスクマスター(オルガ・キュリレンコ)
過去のトラウマに支配されながらも、徐々に自我を取り戻していく女性戦士。アベンジャーズの動きをコピーできる能力を駆使し、戦闘では圧倒的な存在感を発揮します。
◆ボブ/センチネル(ルイス・プルマン)
今作最大のサプライズキャラ。表向きは温厚で気弱な青年ですが、その正体は“MCU史上最強”とも称される超人的存在。その暴走シーンは劇場全体が静まり返るほどの迫力。
【アクション】派手さより“生々しさ”を追求したリアルバトル
『アベンジャーズ』シリーズでは空を飛び、ビームを放つ超常的戦闘が主流でしたが、『サンダーボルツ*』ではあくまで“地に足のついた戦い”に焦点が置かれています。
- 近接格闘:バッキーやUSエージェントによる盾の打撃、ナイフアクションの応酬は、MCUファンにも新鮮。
- 量子ステルス戦:ゴーストが壁をすり抜け、消えながら攻撃を仕掛けるシーンは一見の価値あり。
- 崩壊する施設での脱出戦:クライマックスの展開は、かつての『シビル・ウォー』を彷彿とさせるダイナミズムがあります。
【音楽・演出】空気すら震わせる音と演出の融合
劇伴を手掛けたのは、『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』でも注目を集めたバンド「Son Lux」。
静と動のコントラストを活かし、“混沌”というテーマを音楽でも表現。戦闘前の緊迫した沈黙から、怒涛のアクションへ突入する瞬間の“音の爆発”は、鳥肌モノ。
また、監督ジェイク・シュライアーは、まるで舞台演劇のように人物の感情にカメラを寄せる演出が巧み。戦闘中でも顔の表情を逃さず、観客を心理戦へと引き込んでいきます。
【MCUでの位置づけ】“ポスト・アベンジャーズ時代”の試金石
『サンダーボルツ*』は、ただのスピンオフやチーム映画ではありません。
これは、**「ヒーローとは何か?」**という根源的な問いをMCUが突きつけた物語であり、『アベンジャーズ:カーン・ダイナスティ』や『シークレット・ウォーズ』への橋渡し的な役割も果たしています。
特にセンチネルという“神に等しい存在”の暴走が示すのは、今後登場予定の『X-MEN』や『ファンタスティック・フォー』といった“超能力者の暴走”というテーマにも接続可能。MCU全体の展開に大きく関わってくる作品であることは間違いありません。
【注目のカメオ出演】MCUファン歓喜のサプライズも!
劇場内でざわつきが起きたのは、意外なあの人物の登場。
なんと、元S.H.I.E.L.D.の諜報員であったフィル・コールソン(クラーク・グレッグ)が極秘資料として名前だけ登場。さらに『ブラックパンサー:ワカンダ・フォーエバー』のキャラクターがあるシーンで顔を見せ、物語は「地球」だけでは収まらないと示唆します。
【まとめ】ヒーローとは何かを問い直す、マーベル史上最も“異質”な一作
『サンダーボルツ*』は、ド派手なバトルと笑い、そして悲しみが同居する“混沌と再生の物語”でした。
正義とは、清らかで真っ直ぐなものだけではない。傷つき、間違い、そして許されざる過去を持った者でも、他人のために拳を振るうことはできる──。
MCUの流れを大きく変えるこの一作は、従来のヒーロー像に飽きた方にこそ見ていただきたい、挑戦的かつ感動的な作品です。