今回は、2023年に公開された日本映画『ゴジラ-1.0』について、私の感想やおすすめポイントをお伝えしたいと思います。
『ゴジラ-1.0』とは、ゴジラ生誕70周年記念作品として制作された、山崎貴監督・脚本・VFXによる怪獣映画です。戦後間もない日本を舞台に、突如現れたゴジラと、名もなき人々の生き様を描きます。
この映画は、日本だけでなく、世界中で絶賛され、北米では歴代邦画実写映画の興行収入1位を記録するなど、大ヒットしました。また、日本映画として初めて米アカデミー賞の視覚効果賞にノミネートされるなど、映画史に残る快挙を成し遂げました。
では、なぜこの映画はそんなに評価されたのでしょうか?その理由を、以下の4つのポイントに分けて解説します。
ゴジラのデザインと表現が斬新で圧巻
『ゴジラ-1.0』のゴジラは、これまでのゴジラとは一線を画す、独自のデザインと表現がされています。ゴジラは、戦時中に小笠原諸島で目撃された15メートルほどの恐竜のような生物から、核実験によって被曝し、50メートルにまで巨大化した姿に変貌します。その過程で、ゴジラの身体は焼け爛れ、骨や内臓が露出し、血や膿が滴り落ちるという、恐ろしい姿になります。
また、ゴジラは、熱線や放射能を放出する際に、身体の一部が発光し、音楽とともに迫力ある演出がされます。特に、ゴジラが東京を破壊するシーンは、映像と音響の技術が高度に組み合わされており、観客を圧倒します。
このゴジラのデザインと表現は、山崎貴監督が手掛けたVFXによって実現されました。山崎貴監督は、『ALWAYS 三丁目の夕日』や『永遠の0』など、日本映画のVFXの第一人者として知られていますが、本作では、自らがゴジラのファンであることから、ゴジラの造形にも細部までこだわりました。その結果、ゴジラのリアリティと存在感が高まり、観客に強い印象を与えました。
戦後の日本をリアルに再現した背景が感動を呼ぶ
『ゴジラ-1.0』のもう一つの特徴は、戦後の日本をリアルに再現した背景です。本作では、戦争で荒廃した東京や、米軍の占領下で苦しむ日本人の暮らしが、細かなセットや小道具、衣装などで表現されています。また、当時のニュース映像や写真などを参考にして、空襲や核実験、ゴジラの襲撃などのシーンも、リアルに再現されています。
この背景は、山崎貴監督が、戦後の日本の歴史や文化に興味を持っていたことから生まれました。山崎貴監督は、戦後の日本を舞台にした『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズで、当時の風景や人情を描いてきましたが、本作では、より深く、より暗く、より悲しく、戦後の日本の姿を描きました。その結果、観客は、戦後の日本の苦難や希望を感じることができました。
名もなき人々の生き様が胸を打つ
『ゴジラ-1.0』の主人公は、敷島浩一という、元海軍航空隊の少尉です。敷島は、戦争で両親を失い、空襲で家も焼かれた状況の中で、典子という女性と出会い、共に生きていきます。しかし、ゴジラの襲撃によって、典子は行方不明になり、敷島はゴジラに復讐することを決意します。
敷島や典子は、戦後の日本における名もなき人々の代表です。彼らは、戦争や占領、ゴジラなどの災厄に翻弄されながらも、必死に生き抜こうとします。彼らの生き様は、観客に強い感動を呼びました。
また、敷島や典子以外にも、戦後の日本を支えた人々が多数登場します。例えば、機雷の撤去作業をする新生丸のメンバーや、ゴジラ打倒の作戦に参加する元海軍の人々などです。彼らは、ゴジラに対して無力ながらも、勇敢に立ち向かいます。彼らの姿は、観客に日本人の精神や誇りを感じさせました。
映画史に残る名シーンが満載
『ゴジラ-1.0』には、映画史に残る名シーンが満載です。その中でも、特に印象的なシーンをいくつか紹介します。
敷島が小笠原諸島で初めてゴジラに遭遇するシーン。ゴジラの姿が海から現れる瞬間は、恐怖と畏敬の念を覚えます。敷島は、ゴジラに向かって銃を撃ちますが、ゴジラは無反応で、敷島の存在を無視します。このシーンは、ゴジラの圧倒的な存在感と、人間の無力さを象徴しています。
ゴジラが東京に上陸するシーン。ゴジラは、東京湾から陸に上がり、建物や車を踏み潰しながら、東京を破壊していきます。このシーンは、空襲や原爆による戦争の惨状を思い起こさせます。ゴジラの破壊行為は、戦争の悲惨さと無意味さを訴えかけます。
敷島が典子を探すシーン。敷島は、ゴジラの襲撃で行方不明になった典子を必死に探します。敷島は、焼け跡や避難所を歩き回り、典子の名前を呼びますが、典子の姿は見つかりません。このシーンは、敷島の愛と絶望を表現しています。敷島は、典子を失うことで、生きる意味を失ってしまいます。
ゴジラを倒すための作戦が決行されるシーン。敷島は、元海軍の仲間たちとともに、ゴジラを倒すための作戦に参加します。作戦は、ゴジラの口に爆弾を仕掛けて、内部から爆破するというものです。敷島は、自らが爆弾を運ぶ役目を買って出ます。このシーンは、敷島の覚悟と勇気を示しています。敷島は、ゴジラに復讐することで、典子に対する想いを伝えようとします。
ゴジラが倒されるシーン。敷島は、ゴジラの口に爆弾を投げ入れますが、ゴジラは反撃して、敷島を噛みつきます。敷島は、ゴジラの口の中で爆弾のスイッチを押します。ゴジラは、爆発によって頭部が吹き飛び、倒れます。このシーンは、敷島とゴジラの最期を描いています。敷島は、ゴジラとともに死んでいきますが、典子の幻影を見て、微笑みます。ゴジラは、敷島の死体を見て、悲鳴をあげます。ゴジラは、敷島を敵ではなく、同じ被害者として認識していたのかもしれません。
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