東京喰種 トーキョーグール という毒と蜜 実写映画2作と原作のヤバさを偏愛で語る

東京でコーヒーを飲んでいるだけなのに、胃の奥がざわつく作品がある。東京喰種だ。あの世界は、血まみれのダークファンタジーに見せかけて、割と生々しい「人間関係の地獄」をやってくる。人を喰う怪物が出るのに、怖いのは怪物じゃなくて、こちらの心の方だったりする。

原作マンガ、アニメ、舞台、ゲームと広がった東京喰種ですが、この記事は実写映画の話を軸にしつつ、原作の魅力と、沼に落ちる導線も一緒にまとめます。忙しい社会人が流し読みしても、途中でスクロールが止まるように。止める。止めたい。たまに脱線もしつつ。

東京喰種が刺さる人 刺さらない人 そして刺さったら抜けない人

まず最初に言っておくと、東京喰種は優しくない。観る側に寄り添うふりをして、こっちの弱い所をつついてくる。だから刺さる人には深い。刺さらない人は、わりと健康だと思う。羨ましい。

  • 映画やアニメで「主人公が壊れていく瞬間」に弱い人
  • 善悪の二択が嫌いで、グレーを眺めてしまう人
  • 派手なアクションより、沈黙と視線の殴り合いが好きな人
  • 音楽で感情を持っていかれる体質の人

逆に、スカッと大勝利や分かりやすい勧善懲悪が好きな人は疲れるかもしれない。喰種も人間も、だいたい面倒くさいので。

そもそも東京喰種とは ざっくり世界観とカネキの地獄

人間に混じって暮らす喰種。水とコーヒー以外では栄養を摂れず、基本は人を喰わないと生きられない。設定だけ見るとモンスター映画っぽいのに、話が進むほど「人間の方が怖い」方向へ行くのが東京喰種の意地悪さです。

主人公の金木研(カネキ)は、普通の大学生。ある事故をきっかけに、喰種の臓器を移植されて半喰種になる。ここからが地獄。食べられない。人を喰いたくない。なのに身体は喰種。どっち側にも居場所がない。この居場所のなさが、作品全体の呼吸になっている。

あなたがもし、職場で「どっちのチームにも属してない感じ」を一度でも味わったことがあるなら、この物語は妙にリアルに刺さるはずです。嫌な刺さり方で。

実写映画 東京喰種(2017) が狙ったのは 迫力ではなく痛み

実写1作目の「東京喰種 トーキョーグール」(2017) は、カネキが半喰種として目覚めてから、喫茶店あんていくに繋がっていく流れを中心に描く。ここは作品の根っこ。アクションもありますが、主役は葛藤の方だと思う。

主演俳優と主要キャスト 2017版の顔ぶれ

カネキ役は窪田正孝。追い詰められた目が似合う俳優が、ここでも本領を出す。トーカ役は清水富美加。リゼ役は蒼井優。亜門役は鈴木伸之。真戸役は大泉洋。こうして並べると、割と強い。強いのに、作品内では皆それぞれ違う意味で弱い。そこが良い。

特にリゼは「事故の発端」であり、カネキの身体と人生を歪ませる存在です。蒼井優の不穏さは、甘さと毒のバランスが上手い。目が笑ってない瞬間が、ちょっと癖になる。

監督と制作の空気感

2017版の監督は萩原健太郎。マンガ的な誇張をそのままやるとコスプレになりやすい。そこを、現実側の質感で押し切る判断が随所に見える。喰種の世界を「街の裏側にあるもの」として置いた感じ。渋谷や新宿の匂いがする。

面白いのは、実写化が発表された時に「無理でしょ」と言われがちな要素を、真正面から避けていない所です。赫子、マスク、喰種捜査官。やる。やってしまう。その勇気があるから、ハマる人はハマる。

映画内で利用されている音楽 主題歌と劇伴の二段構え

音楽の話をすると、東京喰種の実写は「曲で殴る」タイプでもある。2017版の主題歌は、野田洋次郎のソロプロジェクト illion の「BANKA」。息苦しいのに、妙に美しい。苦しいのに、耳が離れない。こういう曲が刺さる人、だいぶ危ない。褒めている。

そして劇伴はドン・デイヴィス。ハリウッド寄りの重厚さで、世界のスケールを広げる。喰種の暴力を派手にするというより、カネキの内側の崩れを音で強調する感じ。映像の暗さに、音が同調して落ちていく。

映画の主題歌と劇伴が、別々の方向から心臓を締めてくる。逃げ場がない。これが東京喰種の音楽体験です。

続編 実写映画 東京喰種S(2019) は月山編という最高に面倒くさい宴

続編「東京喰種 トーキョーグールS」(2019) は、原作でも人気が高い月山編が中心。月山習というキャラは、いわゆる強敵というより、厄介な執着の化身。カネキが一番会いたくないタイプの人間関係が、喰種の皮を被って出てくる。

主演俳優と主要キャスト 2019版の面白さ

カネキは窪田正孝が続投。トーカ役は山本舞香。月山役は松田翔太。ここが強い。月山は松田翔太の気配がハマる。上品なのに狂っている。礼儀正しいのに距離感がバグっている。あの不快感の演技ができる人は貴重です。

「僕のだぞ」と言い出しそうな空気を持ったまま、優雅に笑う。その笑顔が怖い。怖いのに目が離れない。悪役の中毒性。月山編は、この中毒性で映画が走っていく。

監督と作品のテンポ 違う温度で燃える

2019版は川崎拓也と平牧和彦が監督としてクレジットされている。1作目よりも、場面転換やテンポが加速して、エンタメ寄りに寄せた印象。原作の月山編が持つ「宴の気持ち悪さ」を、映像の派手さで包む。包んでも臭うのが月山。そこが楽しい。

「続編は前より軽くなる」みたいな法則があるけれど、東京喰種Sは軽いというより、別の重さで殴ってくる。粘着質な重さ。人間関係の泥。これが妙に現代っぽい。

映画内で利用されている音楽 主題歌と劇伴の色

主題歌は女王蜂の「Introduction」。この選曲は勝っている。耽美で攻撃的で、月山編の湿度とよく合う。視聴者の心を撫でてから爪を立てるような曲だ。

劇伴は小田朋美、菊地成孔が関わっている。前作の重厚さとは違い、妖しさや都会性を押し出してくる。喰種レストランという舞台装置に、音が似合う。香水のような不穏。

映画を観ながら音楽に反応してしまう人は、イヤホンで主題歌を聴き直してみてください。体温が少し下がる。気のせいじゃないはず。

実写版の裏側 原作の圧に潰されないために何を捨てたのか

東京喰種は設定も人物も濃い。全部を詰め込めば、120分で終わるわけがない。実写は必ず取捨選択が要る。実写映画の面白さは、その捨て方に出る。

2017版は、カネキの目覚めと孤独を中心に据えて、世界観の説明を必要最小限にした。観客を置いていくギリギリで走る。親切ではないが、あの不親切が逆に良い。観終わった後に調べたくなる。原作へ戻りたくなる。

2019版は、月山の異常性という分かりやすいフックを前に出して、続編としての娯楽性を上げている。原作ファンの「月山、あれはどうなるの」欲を分かっている。分かった上で、ちゃんと気持ち悪くしている。そこに拍手したい。

実写化で一番難しいのは、赫子や喰種の能力よりも、キャラの心の歪みの方かもしれない。歪みを描けた作品は強い。東京喰種の実写は、その一点で勝負している場面が多い。だから賛否が割れる。割れて当然だと思う。

アニメと原作マンガも触れておく ここから入ると戻れない

実写映画だけ観た人が、次に何を観れば良いか。ここは迷うところ。原作マンガは情報量が多く、読む体力が要る。アニメはテンポよく入れるけれど、演出や構成で好みが割れる。どちらにせよ、東京喰種という物語の「本気の地獄」は原作側に溜まっている。

アニメの主題歌やBGMも東京喰種の魅力を支える要素です。作品に合う曲が多く、世界観への没入が速い。忙しい時期でも、1話だけのつもりが2話3話と進む。危険。

あなたはどっち派ですか。まず映像で入って、後から原作で深掘りする派。最初から原作で胃をやられる派。どちらでもいいが、夜に読むのはおすすめしない。コーヒーが苦くなる。

東京喰種の好き嫌いが分かれるポイント それでも推したい理由

東京喰種は、観る側のメンタルを選ぶ。救いが少ない。会話が刺々しい。キャラが正しくない。美しいシーンの直後に、気持ち悪いものを見せてくる。サービス精神の方向がズレている。最高。

ただ、そこに価値がある。善悪の単純な物語は、疲れた時に優しい。でも東京喰種は優しくない代わりに、妙に現実を肯定してくる。人は矛盾する。弱い。逃げる。嫉妬する。依存する。そういう部分が、喰種という皮で表に出てくる。

だから刺さる人には長く残る。観た後に、しばらく自分の中の「半喰種」みたいな部分を考えてしまう。人間のままで居たいのに、何かを喰わないと生きられない部分。仕事とか承認欲求とか、SNSとか。喰ってる。たぶん皆、何かを喰ってる。

映画を見る順番 迷うならこの順でいく

  • 実写映画 東京喰種 トーキョーグール(2017)
  • 実写映画 東京喰種 トーキョーグールS(2019)
  • 原作マンガ(時間と体力がある時に)
  • アニメ(世界観に浸りたい時に)

実写を先に観る利点は、カネキとトーカと月山という主要な感情の線が、短時間で入ること。そこから原作へ行くと、情報量の暴力が楽しくなる。逆もあり。原作の月山編を読んでから映画Sに行くと、映像化の捨て方が見えて面白い。

東京喰種が好きならおすすめ 似た匂いの映画とアニメ

沼に落ちた人へ。ここから先は、同じ系統の中毒性を持つ作品たち。優しさは薄め。余韻は濃いめ。コーヒーは必須。

人間の境界が揺らぐ系

  • パラサイト 半地下の家族 (社会の断絶と暴力の温度)
  • ブレードランナー2049 (人間とは何かの問いが粘る)
  • ジョーカー (孤独が暴力へ変わる瞬間の怖さ)

ダークで美しいアニメ系

  • PSYCHO-PASS サイコパス (正義が壊れていく快感)
  • 進撃の巨人 (敵味方の概念が溶ける)
  • 呪術廻戦 (呪いと人間の距離が近すぎる)

音楽で心を持っていかれる作品

  • 君の名は。 (音が感情を引っ張る体験)
  • ダークナイト (音と緊張感の設計が上手い)
  • 攻殻機動隊 (世界観と音の馴染みが強い)

ところで、あなたは月山みたいな「上品な狂気」を好きになってしまうタイプですか。嫌いと言いながら、気づくとシーンを巻き戻してしまう。そういう時は、もう負けです。東京喰種の勝ち。

東京喰種を語るときに避けられない話 キャスト変更と実写化の宿命

実写版には、キャストの変更や解釈違いで荒れるポイントがある。これは宿命だ。マンガやアニメで脳内に固定された顔がある以上、違う顔が出てくれば反応は起きる。

ただ、そこで一回深呼吸してほしい。実写は「再現」ではなく「翻案」だ。完全再現を目指すと、だいたい破綻する。現実の顔と体で、現実の光の中で、あの物語を成立させる。その無理を成立させた瞬間に、実写の価値が出る。

個人的には、東京喰種の実写は「完璧な正解」を狙っていない所が良い。尖っている。尖っている作品は、嫌われる。でも好きな人には一生刺さる。そういう映画が一本でもあると、映画の棚が強くなる。

東京喰種というタイトルを見て、気が重くなった人もいるでしょう。逆にニヤッとした人もいる。どちらでもいい。観たら分かる。分かったら戻れない。戻れないから、面白いのだ。

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