Netflixオリジナル映画『ブリック (Brick)』(2025・ドイツ)は、配信開始と同時にヨーロッパを中心にSNSで話題沸騰した心理スリラー作品です。
「ある日突然、アパートが黒い壁に囲まれて閉じ込められる」 という極限状況から始まる物語は、単なるパニック映画に留まらず、人間関係・社会批評・テクノロジーの脅威を重ね合わせた深みを持っています。
主演はドイツの人気俳優 マティアス・シュヴァイヒョーファー と ルビー・O・フィー。監督はフィリップ・コッホ。
閉鎖空間サスペンスにSF的要素を加えたこの映画は、観る者に「現実と精神の境界」を問いかけます。
あらすじ(ネタバレ控えめ)
舞台はドイツ・ハンブルク。
妊娠の喪失から関係がぎくしゃくしている夫婦ティムとオリヴィア。別れ話の夜、突然アパートの玄関が謎の黒い壁でふさがれ、外界と遮断されてしまいます。
住人たちと協力しながら原因を探る二人。水や食料が尽きる中、希望と絶望の狭間で精神的な限界を迎えます。
そして明かされる「黒い壁」の正体は、想像を超えるものでした――。
結末の解説(※ネタバレあり)
調査の末、この壁は Epsilon Nanodefense社のナノテク実験による誤作動 であることが判明。
夫婦は最終的にアパートから脱出することに成功しますが、外の世界もまた封鎖されており、自由は完全ではありません。
それでもティムとオリヴィアは 互いに寄り添い、未来へと旅立つ 決意を固めます。
エンディングは「希望と不安が交錯する余韻」を残し、視聴者の解釈に委ねられます。
見どころポイント
1. 象徴としての“黒い壁”
壁は単なる障害物ではなく、精神的な孤立・社会の分断を象徴。視覚的インパクトと心理的意味が重なり、映画全体を支配します。
2. 閉鎖空間での人間ドラマ
夫婦の軋轢、隣人との協力と裏切り――。狭い空間だからこそ露わになる人間の本音と欲望。**「壁と戦う物語」以上に「人間と向き合う物語」**になっています。
3. SFスリラー要素
黒い壁の正体が「軍需企業のナノ技術」という設定は、現代社会のテクノロジー依存とそのリスクを示唆。
リアリティと寓話性のバランスが効いています。
4. 演出の緊張感
密室の圧迫感を映像と音響で最大化。特に静寂のシーンから一気に恐怖が爆発する演出は秀逸。
低予算ながら工夫された映像表現が光ります。
海外レビューと評価
- Tom’s Guide 「斬新なアイデアとパズルのような構成が魅力だが、中盤以降の失速感は否めない」【やや好意的】
- Decider 「設定は面白いが、人物描写が浅く感情移入が難しい。ストリームする価値は好み次第」【辛口】
- People.com 「結末の解釈に余白があり、考察する楽しみが残る」【ニュートラル~好意的】
つまり、**高評価は“設定のユニークさ”に集中し、批判は“ドラマ性の不足”**に向けられています。
総合評価
評価軸 | コメント |
---|---|
コンセプト | 独創的で強烈なアイデア |
映像・演出 | 閉鎖空間を巧みに表現、緊張感◎ |
キャラクター | 感情移入が難しいという評価もあり |
SF要素 | 現代社会への警鐘が効いている |
総合点 | ★★★☆☆(3.5/5)アイデア重視派にはおすすめ |
まとめ:観るべき人は?
『ブリック (Brick)』は、こんな人におすすめです。
- 密室スリラーや心理サスペンスが好きな人
- 社会性や寓話性のある作品を考察したい人
- 「不安と希望が同居する結末」を味わいたい人
逆に、感動的な人間ドラマや派手なアクションを求める人にはやや物足りないかもしれません。